NPO法人ニュースタート事務局関西

VOICE

ここってどこなの

青空の下,私は今ここにいる.ここにいちゃいけないんだろう,多分.
  でも,ここにいる.ここにいることに決めた.
  確かに,あのままあそこにいてもよかったのかもしれない.でも,あのままだと私が私でなくなる気がした.そう,私は私でなくてはならない.何かが取り戻せそうな気がしてここにいる.そもそも,私って何だろうって考え出したのはかなり昔のことで,将来ここにいるなんて思いもよらなかった時期だった.ここっていう存在を知らなかったし,ここをその時知っていたとしても,多分ここを選択していなかったろう.

 青空はいつも青空とは限らない.ここにも曇り空はやってきて,雨が降る日もある.私はここの青空が好き.そして,あそこの青空よりここの曇り空のほうがまだ好きかな.でも,あそこが特別嫌いって訳でもなくて,結構長い期間いたし,そのままずっと居られたかもしれない.
  ただ,いつの間にかあそこは空気のような存在になって,常に側にあるのが当たり前になってしまっていた.だから,あそこ以外は考えられなかったし,あそことここという区別する概念もなかった.そう,あそこただ一つだけが存在すると思っていた.

 きっかけは突然起こるもの.ある朝目覚めると,あそこがもしも無くなったらっ,ていう考えが頭をよぎったの.それからしばらく眠れなくなった.
  けど,その時は,その考えに捕らわれていたから,眠れなかったのではなくて,ただ単に疲れすぎたとか,頑張りすぎてるのね,としか思ってなかった.今思えば,かなり危ない状態だったわ.気がつけばあそこが無くなった時の私を考えていて,あそこにいる前から考えていた,私って何だろう,という質問と組み合わさって,あそこがなくなると私は私で無くなるのか,あそこっていうのは絶対に私に必要なものなのかなって考えていたら,あそこ以外の言葉で私を表現できない事に気がついたの.それから,あそこは私が必要なのか,私はあそこに必要なのか,って考え出して,私にあそこ以外の他の選択肢はないのだろうか,っていう質問にたどり着いたの.

 あそこは私がいなくてもあそこだし,私はあそこにいなくても私なんだって思えるのには,それから随分かかった.私はあそこに依存していたんだ.私はあそこにいる事で,私が何者であるかを考えることから逃れることに成功したけど,それ以外の選択肢がいつの間にか見えなくなっていたんだね.

 そして今,考えに考え抜いて,あそこ以外にいろんな選択肢があることがわかり,ここが一番かなって思えるようになったの.他人から見れば,あそこもここもさほど変わりは無いんじゃないか,むしろあそこの方が良かったんじゃないの,と言うかもしれない.たくさんの人からガミガミ言われたら,あそこに戻るのもいいんじゃないかなと思う時も,ないわけじゃないけど,ここでは何より私が私でいられるし,無理せず私を表現できて満足できてるの.

 みんなはもう,自分が自分でいられる場所が見つかっているのかなぁ.探そうとしても見つかるもんじゃないんだろうし,それはほんとにきっかけだと思う.私があそこにいたら,また違う私になってたし,そのきっかけが無ければそれで満足できていただろうと思う.きっかけに鋭敏に反応するようにレーダーを磨いておこうというのが今私にできるみんなへのアドバイスかな.

ユンゲスト