NPO法人ニュースタート事務局関西

VOICE

長浜〈鍋の会〉日記―Part 1―

2001・7・20
  ハプニングは最初から起こった.
  長浜をめざして茨木インターから名神高速に乗った我が愛車(夫,サポーターのTくん同乗)の前途に,事故による延々と35キロの渋滞.2時間走ってもまだ高槻を通過できない.
  夫は昼12時に長浜で面談の約束があった.他の参加者とも,午後2時に長浜駅集合の段取りである.どう考えても不可能な状況の大ピンチ!

「宇野さん,長浜ロイヤルホテルで待っているFさんに連絡頼みます!」
「小川さん,駅集合の3人を集めて,スタートラインまで先に行って下さい!」

 クーラーの効かない炎熱の車内から,夫は携帯で,考えられる限り連絡を取り合って,無理をお願いした.
  でもなんと心優しい方たち.皆さん驚き,あきれながら迅速に適確に動いてくださり,私達が夕方4時半過ぎスタートラインに着いた頃には,ニュースタートのメンバー10人とH家の愛犬マック君,全員無事に揃っていたのである.
  こうして2泊3日の長浜合宿<鍋の会>は始まった.

 この計画はもともと,我がニュースタート関西の若者の夏休みイベントとして持ちあがった.
  スタートラインは滋賀県長浜市で10年以上引きこもりの若者の共同生活の実践に取り組んでおられる大先輩である.昨年から,代表の宇野さんは時々例会に参加してくださり,色々なアドバイスを頂いていたが,お互いの若者同士は初めての交流である.
  人数も定かでない突然の合宿要請を,「やりましょう!」と即座に快く引き受けてくださった宇野さんの頼もしい声が忘れられない.

 スタートラインの食堂では,もう手巻き寿しや素麺など,今夜のご馳走が所狭しと並びつつあった.かなり広いスペースに台所があり,てきぱきと若者に指示を与えて働いておられるサポーターの中村さん,バンダナの似合う池谷くん.スタートラインの若者がよく働くのにまずビックリ.

 夕食の前,《自然形体》の治療体験を全員で見学させていただいた.岡山から毎週木・金曜日に出張してこられる宮本先生はお坊さんのような柔和な方だ.
  心に悩みを抱える若者は姿勢も悪く,息も浅い.まず身体の歪みからくる内臓の負担を正す事によって心の健康も取り戻す手助けになるかもしれない…と,初めての体験に皆,興味津々.私もモデルになってして頂きましたよ,勿論.…それが全く痛くないどころか,ソフトで優しく,とても気持ちが良い動きを背骨や骨盤などに加えられるだけで,面白いほど姿勢の歪みが矯正されているんですねぇ!
  初めて参加したFくんは,治療が終って立ち上がった時,「天国に来たようだ…」と目を輝かせたので,その場に居あわせた者は一様に感動してしまったのだ.宇野さんには,この治療方法を若者に学ばせて自立の手段にさせようという,深慮遠謀がある.一見の価値あり,とても貴重な体験だった.
  その後,改めてテーブルを囲んで夕食会.若者はまるでお見合いの席のように緊張しているのを,宇野さんは一人ずつ紹介しながら,解きほぐそうとしていらっしゃる.
  我がニュースタートの面々はといえば,いつものアルコールによるセラピーで次第に盛り上がって,宿舎である旅館での二次会へと続くのである.

 

2001・7・21
  旅館の目覚めは最高! ここはスタートラインの若者達が3人寝泊りしている所で,ここから仕事場や事務所に通っているという.一般の宿泊客も勿論いるが,私達の朝食はセルフサービス.コンビニで買い出ししたパンや牛乳,そして,これだけは欠かせない香り高い炒れたてのコーヒーでモーニングサービス.早朝の長浜散策を楽しんだ人もいたっけ.

 10時頃,後発組のO君とS君が到着.前夜8時頃車でやってきたT君を加えてこれで全員揃った.お昼前にスタートラインに戻って,これまた豪華なボリュームたっぷりの鰻どんぶりを頂いた後は,この合宿の最大の楽しみ,琵琶湖畔での湖水浴とバーベキュー,花火大会.

ここらへんからお互いに打ち解けて,あちこちで数人のグループに分かれて話しこむ情景が…次第に暮れゆく琵琶湖の夕景に包まれて,お腹も心も満たされていく.
  琵琶湖に沈む夕日を見たいという私のわがままにつきあって,しばし湖北の先端まで車を走らせてくださった宇野さん.墨絵のようなたそがれの湖畔に一緒にたたずみながら,空と雲の美しさにただ言葉もなく感動した私だった.

 この夜の旅館の一室は,両方の若者が集まり,遅くまで語り合う声が聞こえていたのだが,私は連日の飲みすぎ・食べ過ぎでダウン,早くから夢の中,で記憶が定かでない.

2001・7・22
  最終日は,朝食後,自由解散.
  日帰り組,1泊組も含めて総勢16名の押しかけ合宿はこうしてひとまず終った.

 帰宅後も,宇野さんご夫妻始めスタートラインのスタッフの方々に対する感謝の気持ちは,日に日に膨らむばかりだ.
  予期せぬハプニングも含めて,すべてを気持ちよく受け入れ,精一杯の歓迎をしてくださった.そこには,普段人と接する機会の少ない若者に出会いの場を与えてやりたいという,深い愛情が痛いほど感じられた.

 これはお互いの豊かな交流のPart1.

 1週間後,京都での定例鍋の会.ホームページを見て初めて参加してくれた3人を含めて22人が小さな民家の1室で,熱く語り合う時を持った.
  いつかここに,長浜で出会ったFくん,Nくん,Tくん,Mくん,Uくん,Kさん,Fさん,池谷くん,そしてその優しさ,美しさに皆ファンになった中村さんたちを迎える事ができたら….

 それにしても宇野さん,大病をされ断ったお酒まで私達のためにつきあってくださって,その後お体に障りませんでしたか?
にしじまかずえ